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さよなら現実(3次元)ようこそ非現実(2次元)と、僕は言った 第1回

【登場する地名、人物名、団体等は全て架空のものであり
実在するものとは何ら関係ありません。また、パープルソフトウェア
作品『明日の君と逢うために』に登場する人物名とは何の関係も
御座いませんのであらかじめご了承下さいませ。】


                  ◆

「美少女ゲームでいう所のヒロイン攻略における過程でさ、一つのフラグを消化していって、盛り上がりが最高潮まで達して、告白された、あの時の瞬間ってさ。居酒屋で最初に食べる枝豆の美味さ、生ビィルの最初の一口目の美味さに似ているよね」

熱弁のあまり、唾が僕の頬辺りに飛んだような気もするが、敢えて言及しないでいた。目の前の上司は何を血迷ったか酒に酔ったあげく、自分の趣味について一説論ぜようと言い放ったのである。

「つまりその後のエッチシーンや恋人になった後の甘々シーンはね。確かに良いンだ。こうね、心地よい一時と言うかね。だがね、俺に言わせれば、それはもう、終わっている。『物語としては』もう終わっているんだ。萌え系ジャンルの作品というのはね。ヒロインと主人公をくっ付ける為の『過程』をどう盛り上げるかに力を入れているんだ。だから、ヒロインの背景に悲劇的要素を作ってね、それを主人公と一緒に解決していく。あ、鳥の軟骨は俺のだから。ありがとう……ええと、それでなんだっけ。そうそう、物語だよ。所詮エロゲーと言えども『物語』なんだ。読み進めていく以上、物語なんだ。だがね、もう告白した後の展開がね、どうも、俺には納得行かないんだ。確かに、その後のエッチシーンが有るんだけどせっかく『目出度し目出度し』となったのに実は彼女は人間じゃ有りません、とか、もうすぐ死ぬんです、とかなると、このね、せっかくの上気した下半身のね、所在というのがね……ガハハ。ごめんね直子ちゃん、ちょいと下ネタだったよねごめんごめん。ええい。ポテトサラダはまだか。……でだね。俺に言わせるとね。エロゲーってのは『告白されるまで』がエロゲー。そこまでが『物語』なんだ。如何にヒロインとくっ付いて行くか。そこだけなんだね。だから、もう後のイチャイチャ展開とか、ましてやエピローグに結婚式のCGとか見せられた日には、もうそこに『俺』は所在しないんだな。俺が参加してる物語じゃないんだ。『主人公という名の別人』と、『ヒロイン』の話なんだ。だから疎外感を覚えるンだよ。……なぁ、俺は間違っているか?」

ぐぎゃぁー、と言って、上司が倒れる。直子ちゃん、膝枕だ、膝枕をしてくれよ、といって僕の隣に座っていた『直子』ちゃんは、はいはい、と言って膝枕をする。
それっきり黙りこくった上司はぐぅぐぅ、といびきを立て始めた。

「なんだか、ごめんなさいね。酔うと熱弁を奮うタイプだから」
「……はぁ。まぁ説教するタイプとか、泣き出すタイプよりはマシかと」
「そう言ってくれると有り難いわぁ」

『直子』ちゃん、と呼ばれた、今年、大学受験のお子様を持つ貴婦人『直子』ちゃんは苦笑しながら、上司の頭を撫でて『何時までも独り身なのは辛いわネェ」と言っていた。……明日はわが身かもなぁ、と僕はその疲れきった上司の頭上部を見て、ホンの少しため息をついた。

「……っと。すみません、電話みたいです」
受信を見ると、彼女からだった。
「あいよ。ここは私が見ておくから」
『直子ちゃん』さんのにやけ顔が気になったが、僕はすぐさま外に出る。

6月も下旬に差し掛かった今日この頃。社内で行われた飲み会に参加した僕は、新卒1年目にして最悪の上司と組まされることとなった。所謂世間で言う「ヲタク」らしい。いつもいつもにやけながら人と話す。何がそんなにおかしいのかわからない。そしてわけのわからない『例え』を用いる。……どうやら何かのアニメの台詞の引用出そうだが、僕には全く持ってわからない。……なのに『そんなこともわからないのか!』と怒鳴る。……こちらとしてはわかりたくもないのだが。

「はいはい、どうしたよ」
「……」
「…………!」
「……、……」


                  ◆

「フラれました」
「……え、……え?」

……さっきの電話は。遠距離恋愛の、当然の結果だったのかもしれない。
勤務地が地元から離れ、大学の頃から付き合っていた彼女と疎遠になっていったのは仕方の無いことかもしれなかった。……それに、仕事の多忙さも手伝って、最近ろくに会えもしなかったからだ。

「あはは、なんかスミマセンせっかくの飲み会なのに……」

引き攣った笑顔で、こう言うのが精一杯だった。きっと、その時の僕の顔はとてもじゃないが見れたものじゃなかったと思うから。『直子』ちゃんは『あー……まぁ、なんというか、ねぇ』と言い、視線ここに有らず。まぁ、仕方ないだろう。……と、そのときだ。

「……よし、俺の家に来い」

「……は?」

思わず、上司の声に耳を疑った。あんなに酔っ払っていた上司がむくっ、と立ち上がると突然正気の顔に戻って僕の前でこう言い放ったのだから。

「いや、でも」
「そうよ、こんなときは、一人にさせる方が」
「……んふふふふふ。……俺にしてみれば好都合……じゃなかった。……いや、何励ましてやろうと思ってだね、そしてようこそ俺と同じ『独り身の』世界へ!!」

上司でも、こいつをぶっ飛ばしてやろうかと思った。フラれたばかりの人間にかける言葉では無いだろう。思わず「あぁ?」と言いそうになったのをグッとこらえる。『直子ちゃん』さんも制止しようとしたらしく、少し立ちかけたが、僕が抑えているのを見て、そのまま何もしなかった。
……ったく、どちらが『大人』なんだよ?と思ったが、

「はい、それじゃ決定。はい直ぐに行こう直ぐに」

と僕の肩をバンッと叩くとそのまま連れ出そうとする。

「ちょっ……飲み会は?……それに!勘定!!」
「悪い、後で払うから!!」
「……、……」


                  ◆

上司の借りている、アパート。
……案の定、である。
ドア、壁、そして天井に至るまで全てがアニメキャラのポスターで埋め尽くされている。それにアニメキャラクターのプリントされた……あれは所謂「抱き枕」というヤツか……が数十個程並んでいた。……あぁ、想像通りじゃないか。

狭い部屋には、それらのグッズとPC……そしてそれを置いてあるみすぼらしい机と椅子……のみであった。

「……あの、僕、そんなに長居をするつもり、ないんですけど」
精一杯の譲歩だった。こんな所に居ること自体、腹立たしい。……家に帰って、シャワーを浴びて、それから、

「ベッドにダイブ、枕を涙で濡らしてワンワン泣いて、それで今夜は寝るつもりだったんだろ?」

上司の、鋭い眼光。……なんなんだよ、この人は。

「だからどうだって言うんですか。……もう、帰りますから」

「……彼女」

「……え?」

「……新しい彼女が出来ると言ったら?」
「え、何を突然」
「……実はねェ。君に頼みがあるんだよ。しかもこれ、すっごく有益なことなんだけど」
「……ゆう、えき?」

そう言って、上司は部屋の奥にある……これまた古ぼけた机の引き出しを開けると、そこから2、3枚の用紙を取り出す。

「これは、君のような『オタクではない』男にしか出来ないことでもある」
「……どういう、ことですか」

「フフン、簡単なことさ。今から君に新しい『彼女』をプレゼントしよう。……但し、条件がある。今から見せる用紙の中から見せる女の子から一人を選ぶ事。そして……その少女と『フラグ』を立て、最終的に結ばれる事。……1週間以内に、だ」

と言って上司はバサァ、と2、3枚の用紙を僕に向かって投げた。

「……やっぱり帰ります」
「……俺と同じ独り身のままで?」
……。足が、ピタ、と止まる。

「まず、言ってる事に理解出来かねます。……簡単に言うと、このアニメキャラを今から呼び出すから、このキャラクターと付き合えってことですよね。……意味がわかりません。そんなの出来るわけ無いじゃないですか。それに、一週間以内に『フラグ』……『フラグ』って何ですか」
「ん、つまり一週間以内にその女の子を口説き落とせってことさ」
「……呼び出せるわけ無いのに、そんなこと言われても無理な話でしょう」
「じゃあ呼び出せたら、どうする?」
真顔で僕を睨む上司。
「……出来たとしたら、どうして貴方は『独り身』なんですか。もしそう言った能力があったら、何人もの女性と、お付き合い出来ていたじゃないですか」
「言っただろう。俺は『そういうこと』に興味は無いの。過程が好きなんだよ。付き合うとか、そういうのは嫌いでね。俺がしたいのはそこに辿り着くまでの過程を楽しみたいだけさ。……だから俺は独り身で良い。それに、『この能力』は『自分自身には使えない』ンだ。そういうことになってる」
「……」

漫画の読み過ぎだ。……何なんだ。これでも、この上司は、僕を慰めているつもりなのか。……だとしたら最悪のやり方だ。嘘で、しかもこんな、アニメのキャラクターで?彼女になる?
……フザケルナ!!

「……帰ります。……もう、ここには居たくない」
「まぁ、待て、な、せめてここから1枚選べ。それで『契約は完了』だから、な?」
「放っておいてくださいっ!!……なんなんですかっ!」

僕は、もうやけくそで、その紙を適当に見て、1枚だけを適当に上司に突っ返した。
「ほう……この子ねぇ」
とかなんとか言っていたが、僕は無視して帰ることにした。

何なんだ、まったく。


                  ◆

帰宅。……会社に入って、僕は初めての一人暮らしをすることになった。狭い階段を一歩、一歩歩く。……と、まず、違和感を覚えた。

「あれ、僕……鍵を開けっ放しにしていたっけ?」

それに、明かりが、付いていた。……何故だ?……と思うと

「あら、おかえり。……その様子じゃ、だいぶ飲んだみたいね」
「……は?」

おいおい。……冗談じゃないぞ。
これが、
上司の言っていた事なのか?

……目の前には、見たことも無い『美少女』がいた。……何だって言うんだ。
まさか、本当に?!……いやいや、不法侵入者じゃないのか、これは?

「……誰だよ、君は」
「あたしの名前を言っても、わからないでしょ。……ま、不法侵入って思っているんでしょうけど。悪いけど、こちとら『還る』か『還られない』かの問題なの。……絶対、アンタを落としてみせるから、覚悟しなさい」

ニヤリ、と笑う少女。なんだ、なんだ、なんなんだ???

「……あぁ、どうでも良いと思うけど。……やっぱり名乗らないと駄目だしね。あたしの名前」
一歩、前に出る。

「あたしの名前は舞。……月野舞。アンタの上司が遊んでたゲームの登場人物ってことらしいわ」
「ゲーム……の、登場人物?」
「……でも、あたしにも、あたしの住むべき『世界』がアンのよね。……サッサと終わらせて、早く帰りたいの。協力して頂戴」

この少女と、上司の二人して口裏合わせをしてるのか?
……フラレタ、その日に、僕の部屋に女の子……それも、とびきりの美少女がやってきた。……ってシチュエーション。出来すぎだろ。

「ま、良いわ。それよりお風呂、沸いてるから。……入んなさいな」

そういう少女の笑顔につられて、僕は……お風呂の中で「寝るときはどうするんだ?」ということを考えていた。


■月野舞との生活 リミット あと 7 日



【続く】 ……次回更新は未定となっております。ご了承下さい。















>/akiさん
判る人には判ると思いますが冒頭の酔っ払いの長文は太宰治の
得意とする話し言葉を引用してみました。確かに「うへぇ」となるんですけど
酔っ払い「らしさ」が出ていて、僕は気に入ってます。
「面白い」と言って頂けることが何よりで、果たして「文字」だけで何処まで
想像力を働かせる事が出来るか。今後にご期待下さいませ。

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[ 2009/06/24 00:04 ] ショート・ショート | TB(0) | CM(1)
No title
冒頭の台詞があまりにも長すぎるな、と見えたけれど、
面白かったので一気に読めました。
本当にお酒をのみながら熱弁しているみたいでしたね。
マニアックことを熱く語るのを聞くのって面白いんだよな。
もちろん趣味が合えばですけれどねw

実は僕、1・2年前までこっちの(二次元)の世界を知りませんでした。
一般的なアニメとかは観たことあったりしてたけれど、
萌え要素が入った二次元は初心者だったりして。
しかも導入がエロゲです!
ぶっちゃけちゃいましたね。はい。
なのでヲタ友達いませんw
いわゆる隠れヲタってやつですねw
二次元には夢がいっぱい。
コメントで長文すみませんでしたっ!




[ 2009/06/24 00:55 ] [ 編集 ]
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