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未来ノスタルジア スピンアウト Ep:2「lovesickness」

はじめに


登場する地名、人物名、団体等は全て架空のものであり
実在するものとは何ら関係ありません。

またパープルソフトウェアより発売予定ソフト
『未来ノスタルジア』に関する登場人物とは、
現時点で未発売の為、創作上の不一致が御座いますので、ご了承ください。











―― お兄ちゃん。

ふと、呟いてみる。
澄みきった空気。

白濁とした朝靄の中、視界に見えるは、二羽の小さな雀。

互いをいたわるように体を摺り寄せ、
チュチュチュ……と、彼等は鳴く。

窓の外の、そんな景色をぼぅ、と見ながら、ヒナは、まだ
上の部屋で、夢心地であろう一人の男性のことを偲ばせる。

「あんな風に素直に身を任せることが出来たら……ま、苦労はしないんだろうけど」

……。

独り言を漏らした自分自身に、少し赤面。


別に、いつだって「お兄ちゃん」と呼べる用意は、あるんだ。
でも、それは、きっと訪れることは無い。
……と思う。

―― あの日。最後に兄を「お兄ちゃん」と呼んだのは、
再会した、あの時だけ。

それ以降は「兄さん」で通している。

今更、恥ずかしいから……なんて言ったけど、本当は、違う。
……遠慮?

そう、かもしれない。

素直に「お兄ちゃん」って言える、そのことが羨ましい?

いや、違うんだ。

これは、もう決めたこと。

それが、きっと……









「ヒナちゃん、ヒナちゃん! お味噌汁!!」
「……っ、いけない」

慌ててスイッチをOFFにする。

「もぉ、どうしたの? ヒナちゃんらしくないなぁ」

振り返ると、姉の姿。
吹きこぼれた鍋の様子を二人して伺う。

「「大丈夫みたいね(だね~)」」

「それ、お兄ちゃんの好きな具なんだっけ」
「何言ってるの。これは皆が好きな具よ」

「うーん。お味噌汁の具って、家族みんな、同じものが
好きになっちゃうのかなぁ」

「……どうかしらね」



――お兄ちゃん、か。



「? どうしたの」
「なんでもないわ。さ、手伝って。あの寝坊すけさんが起きる前に
さくっと仕上げるわよ」

「あいあいさー」









「うー。やっぱり3人一緒に食べる朝ごはんは格別だねー」
「あはは、そうだな。日直当番の時は、こうして俺も早起き
するわけだし」

「お兄ちゃん! これは先生に毎日、日直当番を申し出るしか!」
「それは勘弁こうむる」

「うぅ、お兄ちゃんのいけずー」


朝の何てことない風景。
それでも。

いつもと同じはずなのに、ヒナだけが違う?
まだ、気にしてるの、ヒナ。

そんな、呼び方くらいで……?


じゃあ、言ってしまえば良いんだ。

たった、一言。


「あの、おに……」


「それにしても、本当にノノとヒナって、姉妹だよなぁ」

「ど……うしたの、突然」

急に、ヒナに声をかけられたので、ちょっとだけ動揺する。


「あらためて言うのも何だけどさ、その……久し振りにお前たちに
再会して、それで色々有って……。周りは確かに髪型とか、眼鏡とかで
区別してるようだけど、一卵性だから、ほとんど見分けがつかないって
ヤツもいる」

「でも、俺には、やっぱり、ノノとヒナなんだよな。代わりなんて、
なれないんだなって」

「……」

「そりゃーボクにはこんな美味しい朝ごはんは作れないよ!」
「そうだな。でも、ノノには、ノノにしか出来ないことがある。
やっぱり、それって『ノノだから』なんだよ」




そうか。

……なんだ、まるでヒナが馬鹿みたいじゃないか。
ヒナには、ヒナの想いがある。
だったら、今は『このまま』で、良い。

いずれ、呼び方を変えることになる日が来ても……

ヒナは、目の前の二人を、そして自分を含む三人の関係を、
大切にしなくてはいけない。

その、決意のひとつが「兄さん」という呼び方なのだから。


「それにしても、突然ね。『兄さん』がそんなこと言うなんて。
今日は大雨洪水警報でも出そうだわ」
「それは勘弁だよ、ヒナちゃんっ! ボクの生きがいが! 朝練がっ!」


「っ! のんびりもしてられないかも、お前ら、時計見ろ、時計!」

「あら。うかつだったわ。今日は色々あったから……ヒナのことは良いから
二人とも、早く準備なさい。二人とも、走れば充分間に合うわ」

「何言ってんだよ」
「そうそう」

二人が、こちらを見て微笑む。

「ヒナちゃんも、一緒に行くんだよ」
「……あぁ、皆で行こう」


一瞬、ヒナの目が、すこしだけ大きくなる。
そして、ほんの僅かな、笑みが、こぼれる。


「……わかったわ」


この関係が、いつまで続くかわからないけど。
今は、そんな「危惧」は、心の隅に閉まっておこう。


外の光は、間違いなく、三人を温かく迎えようとしている。
あぁ、今日も良い天気になりそうだ。



「この天気じゃ、大雨洪水警報なんて、絶対有り得ないよなー。
ヒナの予想、はずれたり~」

って、このバカ兄は……。

せっかく良い雰囲気でしめようと思ったのに……。


「置いていきましょう。こんな意地悪な兄さん、しらない」
「あはは~。いこいこ!」
「ちょ、待ってくれよー」


三人の笑顔。

特に、一人は、珍しいくらいの、笑顔。


「あらあら。あんなに可愛らしい笑顔のヒナちゃん、
見るのは珍しいわね」

と、通りすがりの近所のおばさまが言う。


今日も、彼女たちは、


元気です。






【了】

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[ 2011/07/24 09:06 ] PCゲーム | TB(0) | CM(0)
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