
以下、全文掲載。
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◆はじめに
私達の住んでいる「日本」には、沢山の神様がいる。
「神様、仏様、キリスト様!」
なんて言葉が如実にそれを表している。お米の一粒一粒にも、神様は居るわけだ。
そんな国なだけに、神様に対して ―― 恐らく地球上、もっとも寛容な国だからこそ、
この物語は「良いんじゃね?」という気持ちで迎えることが出来るわけだ。
体験版では、第二章まで。しかし二章で起きた出来事が、体験版終了時点で
完結していないので、感想は、第一章『宴のはじまり』を中心に書こうと思う。
◆第一章で語られる「神」と「人」の隔たり
第一章では、「神様」と「人間」の懸隔について語られている。
神様と人間が同じ「学園」に通うようになって、次第に「溝」が出てくる。
「人間は私たちを敬うという気持ちはないのか」「神様って何だか偉そう」
と、神様側と人間側で対立してしまう。それを主人公が何とかしようとするのだが……
以上が、第一章のお話。
突然、八百万の神様が現実世界に実現化したわけだから、混乱するのは当たり前である。
まず、最初にこのテーマを持ってきたことは当然だし、それと同時に、各キャラの顔見せや
特徴も同時に魅せることで、共通ルートとして相乗効果を生みだしている。
これらの問題に対して、主人公が前向きに奔走する姿も好印象だ。
何よりこういったジャンルは「主人公に感情移入」出来なければ駄目だと個人的には
思っている。だからこそ、持ち前の行動力、江戸っ子気質、
考えるよりも前に足が動いてしまう……
という「内向的」では無く「外向的」な主人公・颯太君ならではの行動が、ユーザーには
好意的に映ったと思う。
「べらんめぇ口調」が気になった、という方もいるらしいが、少し「クドイ」部分が有った所為で
(特徴故、仕方ないとは思うが)印象に残ってしまったのだと思う。
◆颯太=『幸魂』の持ち主であるという説得力を持たせた「宴」
主人公が和解策にと選んだのが「花見」。だが、開催場所に決まった「此花神社」に住まわる神
「サクヤ」はそれを拒絶する。
「宴をすること自体、良いとは思いますが
この場所で行うと言うなら、お断りします」
「良いと思っているのに、どうして?」
「ダメなものはダメです」
姉の「イワナ」が言う。
「夜にまた来て。そして翌朝も」
と……。
夜に、主人公が見たものは、花見に興じる人の群れ。……確かに風情も何もない。
そして、翌朝。……無数に散らばるゴミ達。
あぁ、これか……と納得する主人公。そして、素直にサクヤ達に謝りたい、そして何とか
このゴミを綺麗にしたい、と思う主人公の思考回路が素敵だ。
彼が思いついたのは「このゴミ」を綺麗にすること。
……それは彼の自己満足に過ぎないのかもしれない。
「もしかしたら、このゴミを綺麗にしたら、サクヤの気持ちも変わるかもしれない」
という気持ちが有ったかというと……
彼はそんなことで「ゴミを片付たい」と思ったわけではないのだ。
「気が付いたら、身体が動いていた」
そんなこと、ゴミを出した人間にやらせば良いのよ、という「いつき」
(この言動は尤もであり、一方の意見であるが、これを攻略ヒロインに言わせた、
というか「言わさせるしかなかった」あたり、後述するがいつきが割をくった
イメージが有る)に対する、颯太の台詞が気持ち良い。
次第に集まってきたのは……友人や、神様たち。親や、商店街の皆だ。
彼のするところに、必ず人が集まってくる。
これは彼の人徳であり、『幸魂』を持っている、という設定を具体的に見せているのである。
愛すべき主人公、ともすれば嫌味になるかどうかのスレスレに行く所ではあるが、ここは
テキストの説得力も有り、成功している部分ではないであろうか。
ともあれ、無事に宴は終了。神と人との隔たりも解け、めでたしめでたし……。
となったのである。
体験版のストーリー感想は、以上とさせていただく。
◆最後に、各ヒロインの魅力も語っておく。
※メインヒロイン
「月詠ウサギ」……かつて主人公に出会ったことのある神様。ある意味反則キャラである。
普段は主人公の妹「みこと」とコンビを組んで「五月蠅い妹が一人増えた」と思わせる
ポジションに居るも、所々で「ドキッ」とさせる言動。
自身の裸を見られて激しく取り乱すなど、明らかに主人公を
意識している。普段の仮面(ペルソナ)と、そういった部分を使い分けているので、
それがわかるユーザーは、にんまりとしてしまうわけだ。
※ヒロイン
「佐久沙いつき」……人間代表であるが故に「割を食った」イメージがあるが、
「お姉ちゃん」キャラとしては非常に好印象だった。
一部ユーザーの声にある「弟」という呼び方についても、個人的に違和感は無かった。
体験版では「神様」という特異な存在を描かねばならないので、ああいったポジションになるのは致し方ない。
彼女の真価は、製品版で、といったところであろうか。
颯太君を「弟として」から「一人の男として」見るように変わっていく……
というのが通常の姉弟ルートなのだが
彼女自身、初めから好感度MAX状態だと思われる。
颯太の母を「お母様」と言ったり(敢えて、叔母様と言ってない?)
「……タイミングが悪いんだから」
「ほんと、ドキッとさせること言うわよね」などの描写から、
颯太を意識しているのは間違いないだろう。
体験版では語られていないが、神様を嫌いになったという「本当」の理由
(スセリに関係があるとの事)も気になるところだ。
「豊草イナリ」……豊穣の神であり、セックスシンボルとされる神。
と考えれば思いつくのはセクシーなお姉さんキャラなのだが、
獣耳&尻尾の愛らしい外見である。自分自身が「セックスシンボル」の神と自覚しているので
「あっはーん」なキャラでなければ、と思っているのだが、ウブな為、赤面してしまう、
という設定が最高。
エロエロ~ンでは恐らく、人気が出ないと思ったスタッフ、正解です。
でも、恐らくHシーンでは凄いことになりそうではある。
「らめぇ~」→「こめぇ~」を考えた方は、「これはいける!」と思ったに違いない。
ええ、脱帽しました、そのセンスに(笑)。
「富士宮サクヤ」……プライドの高い神様で、最初は人間に好意を持っていなかった。
そんな彼女の氷の心を溶かしていくのも、主人公たる颯太君の役目であり、また見所。
実は、いつきと似た者同士で、だからこそ、お互いを認めようとしなかったのだろう。
それだけに、体験版の時点では仲直りはしたものの、「親友」となるフラグは、
まだ立っていない。製品版ではこの二人の友情にも注目したい。おそらく、一番の親友になれる
であろう二人なのだから。
お酒を与えると怖い、なんていう設定もあるが、お茶目な彼女を早く見てみたい気もする。
今後、また人間不信になるような展開が恐らく有りそう。鍵を握るのは、颯太といつき、
そして姉の「イワナ」だろうか。
「また裏切られた。……信じようとしたのに」
……なんて展開から、
「すべての人間が悪いわけじゃない」
という風に持って行って欲しい気もする。
それも含めて「人間を愛して欲しい」と思うわけだ。
◆おわりに
楽しい体験版でした。終わってしまうのがあっと言う間。しかも最高に話の続きが気になる
「製品版をお楽しみに~」な幕引きが非常にニクイ(笑)良い体験版だったと思います。
製品版完成まで、お体には十分に気を付け、素敵な作品となりますよう、
心よりお祈り申し上げます。
本当に、有難う御座いました。
※当サイトにUPするにあたって、行間の追加、見直し、また文章の加筆、修正を行いました。
ご了承くださいませ。