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千鶴の近所のお兄ちゃん【夏の怪奇シリーズ】 壱:白いうなじの少女 第3話

【登場する地名、人物名、団体等は全て架空のものであり
実在するものとは何ら関係ありません。またパープルソフトウェアより
発売されたソフト『明日の君と逢うために』に関する登場人物とは、
何ら関係ありません】




                  



「神様がくれたチャンスは、お互いに想っている人に会える、というものだった」

彼が発した言葉を、真摯に受け止める。
その内容は、突拍子も無いことだけど、それを笑って過ごせるほど、彼の
不思議さは痛感していたし、また、真剣な「目」で語る、その話を。

私が、受け入れないはずが、無かった。

「今日、このバスは……事故に合う」

「乗客のうち、死傷者は2名。……原因は不明。だけど、ピンポイントで2名『だけ』が
死んでしまうんだ」

「……もう、わかるよね。死んだのは、君と、僕だ」

驚かないんだね、という彼に無言で頷く。

「元々、君と僕はもっと前に……どちらかが声をかけたのか忘れたんだけどさ。
お互いに知り合いになって、そして……恋人同士になった」

そして、幾つもの思い出を作っていった。
そんな時に、バスの事故が起きた。

                  



僕は……死んだ、のか。

黒い、黒い空間の中で、僕は覚醒した。
辺りには、何も無い。……黒い、ただ無限に黒い。

「……気が付いた」

そこへ、少女の声。

「君は」
「わたしは……神様」
「へ?」
「まぁ……驚くのも、無理はない。皆同じ反応をするから、慣れっこ」
「だってまだこども……」

「それより、どうして貴方『たち』死んじゃったの」
「……たち?」

そして、目の前には……。

「……っ!!」

「おいっ、おいっ! ……しっかり、しっかり!!」
「う、うぅ……ん」

「予定では、このバス事故は『死傷者ゼロ』になるはずだった」
「でも、何故か『手違い』で、貴方たちが死んでしまった」
「このままじゃ、困るということで……特別に、特例として、貴方たちに
期限付きで、あることをしてもらう」

そう言うと、少女は手を振りかざした。

―― りん、と。

鈴の音が、した。

                  



「条件というのは、お互いに会うことなく、バスに乗ることが出来る、というもの。
だから僕は、君の……つまり、君の『僕のような存在』には会う事が出来ない。
そして、もうひとつの条件は、自分自身に会うことは出来ない。……だから、僕は
『僕』が来る停留所になると『消える』わけだ。……そして、僕の姿は『僕』には
見えない。自分と同じ顔をした人間を見るなんて、考えただけでも怖いだろ?」

「……じゃあ、貴方は、幽霊ってこと、なのね」
「知っていたはずだけどね。……僕の姿は『君だけ』しか見えないから」

「恐らく『君』も、このバスに乗っている。君には見えないけどね。そして、
もうひとりの『僕』に接触しているはずだ」

「どうして、それを……この日に告げたの。もっと前に言ってくれれば、私は」
「……エゴ、さ。……君にこのことを早く告げて、それで危険を回避することが
できたら、僕の『役目』はおしまいだからね。……後は……消えるだけ」

―― あぁ、そうか。

彼は、このバスの少しの時間だけ。
最愛の人と、
もう、再び会えるはずが無かった人と、
話すことが出来たから。

1分でも、1秒でも。

一緒に、いたかったのか。

「だから、話は簡単だ。事故に合うのは、彼がバスに乗ってから、終点に着くまでに
二人で『降りればいいだけのこと』。それで、事故は回避出来る」

「……でも、何て声をかけたらいいの? だって、二人はまだ赤の他人だよ」
「大丈夫さ。……だって、僕は」


ずっと、

君のことが、

好きだったから。


「~公園前、~公園前、です」

アナウンスの声。……そう、この停留所は、彼が乗って来る、停留所。

座席には、

彼の姿は、もう無かった。

ただ、私の頬に、

柔らかい感触が、

残っていたかのようだった。

それをなぞると、

私は、一世一代の決心をした。




【続く】

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[ 2010/06/04 12:15 ] ショート・ショート | TB(0) | CM(0)
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