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千鶴の近所のお兄ちゃん【夏の怪奇シリーズ】 壱:白いうなじの少女 第2話

【登場する地名、人物名、団体等は全て架空のものであり
実在するものとは何ら関係ありません。】




                  



異変に気が付いたのは、3日前。
私が「彼」に逢うため……というわけではないのだけれど
(と、いうことにして欲しい……)
決まって同じダイヤのバスに乗っているのだが、

私の定位置(いつも後ろの座席に座っていた)に、
「その人」が居た。

こちらを見て、微笑む、その人の顔は、

まぎれもなく、

いつも気になっていた、「あの人」だった。




                  



「やあ」
「……はぁ」
「僕が見えるってことは、『向こう側』も見えているってことなのかな……
否、違うか。……だったら、もっと吃驚するハズだよね」
「あの、さっきから話が見えないんですけど」

いつも乗る停留所は……ここじゃないはずだ。……もっと先のハズ。
それに、こういう言い方は……あまりしたくないのだけれど。

すこし、

―― 馴れ馴れしい気がする。

嬉しいはず、なのに。

「私、貴方とそんなに親しい仲でもないと思うんですけど……
どうして、そんなに」

「あぁ、ごめん。……そうだよね、そりゃぁ……そうだ。『まだ』僕らは
出会ってもいないんだものね」

「……?」

「んー。あまりこうして会話しない方が良いか。……ま、こうしているより、
実際に見てもらう方が良いのかもしれないね」


―― バスが、止まる。

そして、この停留所は……彼が来る……そう、いつも彼が乗ってくる停留所……

「え」


そう。

何事も無く。

今、まさに会話していた「はず」の、

彼が、

その停留所から乗ってきたではないか。

「……こ、これってどういう」

振り返る。

……すると、

今までそこにいたはずの「彼」は、

どこにも居なかった。

……3日前の、ことである。


                  



もうすぐ、終わる。

僕は、「白いうなじの」少女が、読んでいるハードカバーがまもなく終わることを
横目で見ていた。

……読み終えたらどうなるのだろう。
そんなことを、考えてみる。

否、別にどうということはないのだけれど。
何故か、彼女が次に新しい本を読む、なんて想像はつかなかった。
そして同時に、それを読み終えると、何だか彼女がもう、この
バスに乗らないんじゃ無いのかとすら思えてきた。

……だったら、することはひとつじゃないのか。
自分に言い聞かせてみる。

「ぼ、僕は……ずっと前から、君を……見ていました!」

彼女に、声をかける。

……そんな簡単なことが、
僕は、まだ言えずにいた。


そういえば、

僕はまだ、

少女の「正面」を、

見ていないんだった。

あれ、

どうして今の今まで、

気が付かなかったのだろう。



                  



不思議なことは、慣れれば「不思議」から「日常」のものに変わる。
そうなるはず、であるが、私にはまだこの光景が受け入れ難い。

私の乗る前から「彼」が乗っている。
その「彼」は饒舌で、私に色々な話をしてくれた。
―― 楽しかった。

そして、本当の? 彼が乗ってくる停留所で、彼は「消えてしまう」のだ。
目の前には、彼。

……でも、話せない。目も、合わせられない、彼。

私から、話しかけてみようかな。
恥ずかしい、という気持ちが支配する。

向こうは、こんな女の子が突然話しかけてきたら、どう思うだろう。
きっと、困惑するに違いない。

「あの彼」と、今、目の前に居る「彼」はちがう。

……同じ人なのに。


なぜ?


そうこうしているうちに、

私は、彼から……えぇと、積極的に話しかけてくれる、
「不思議」である彼、だけど。

そんな彼から、衝撃的な一言を、聞かされることになる。


「……決めて欲しい。真実を、教えるかわりに」

夏は、もうすぐ。

でも、私は、ふるえた。

……バスのエアコンの所為では無く、彼の次に発せられた、一言に。




「もうすぐ、僕らは……死ぬんだ」



【続く】

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[ 2010/06/03 22:25 ] ショート・ショート | TB(0) | CM(0)
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